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6組から9組まである2棟は自分達のいる1棟よりやや小綺麗な感じがした。
どうりで悪魔の存在を知らなかったわけだ。まだ入学して間もないからか、2棟に住んでいる同級生はほとんど初対面の子達ばかりだ。棟が違えば、ほぼ世界が違うのだ。ここは本当に同じ学校なのだろうか。
同級生のほとんどがナサの容姿に驚いているのか、ナサ自身、ちらちらと不快な目線を感じた。
イライラする。
「ちょっといい?」
偶然7組から出てきた女の子に聞く。
「雨宮春日って、もう教室にいる?」
「え、雨宮さん?まだだと思うけど……」
あっ!来た来た!
女の子がナサの後ろを指さす。
「ありがとう。」
静かに告げると
すぐ後ろを振りかえる。
『悪魔』こと、雨宮春日(はるひ)。
もう何も怖がる事はない。あの時の自分は幼かっただけ。
全身全霊で、思いきり敵意を向けてやる。
私の大嫌いな人。
春日の表情が曇った。ナサがキツく睨むと目をそらす。
固まってしまった春日はつったったまま。
拍子抜けをしたのはナサだった。きっと嫌な思いをするだろうと覚悟をしてきたというのに。
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