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お菓子メーカーに勤める事となった新入社員が驚きの事実を口にした。
「僕、お菓子嫌いなんですよ」
「は?」
面接の時にはそんな事は一言も言っていなかったがどうやら言うと落とされると思って秘密にしていたらしい。
だが、
「ふざけるなよ! うちはただでさえ経営が右肩下がり、他の企業に買収されるかもしれないところまで来てるんだ! だからこそ若い社員に投資しようと求人を出してるのに君みたいなのがいると困るんだよ!」
「はぁ、」
その新入社員は意に介さなかった。
そこから一年。
彼を中心に日進月歩で企業の軌道は上向いた。
お菓子嫌いの新入社員はたしかにやり手だった。そして、お菓子嫌いの彼のアイデアは斬新だった。
甘くて食べられたもんじゃないと、野菜のチップスを考案。
チョコレート甘い、ならカカオ成分多めのチョコレート売ろう。
お菓子はそもそも虫歯になりやすい、歯磨きガム考案。
彼はお菓子が嫌いだったがそんな自分でも食べられるお菓子を作りたいといつも思っていた。お菓子好きにも好まれ、お菓子嫌いにも好まれるお菓子メーカーなら将来安泰。
結果、企業はあらゆる顧客を手にし、大企業へと姿を変えたのだった。
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