謎のアプリ

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
影山光輝17歳。この光ってるのかそうでないのかわからない名前の俺は残念ながら影の方でこの17年を生きてきた。クラスでも目立たないしスポーツもできない。成績も良くない。一言でまとめるとアビリティ、能力がないのだ。誰しもが何かしらの能力を持っているとか言う教師や大人を信じる気にはなれない。というより、誰しもが輝く能力を持つならばこんな世の中にはなっていないだろう。「どこからか能力が降ってくればいいのに」と愚痴をつぶやきながら今日も俺は唯一の特技であるネトゲに打ち込む。ネトゲの世界であれば能力のないものにも平等に能力を与えられる。そのことに気がついた俺はいつしかネトゲに打ち込むようになり、気がつくとトッププレイヤーになっていた。「現実でもネトゲのように能力が与えられないものか」とまた呟いてパソコンを閉じる。パソコンのゲームにも飽きてきた。最近はスマホとやらのゲームが人気らしいな…。と、誰からも連絡が来ないためにしばらく放置されていたスマホの電源をいれた。ケータイキャリアのロゴが表示され、スマホの画面が表示される。 「ん、なんだこれ」俺は表示された通知に疑問を浮かべる。このスマホは友人のいない俺には基本必要がなくアプリも入れずにデフォルトのまま放置されていたはずだ。 なのに、身に覚えのないアプリの通知が表示されたのだ。「Ability app」アプリ名にはそう記されていた。「能力アプリ?」なんだろうか。俺は何気なくタップしてみた。 「install…completed」と表示され、次には「You are Ability person」と表示された。 なんだろうか。そう考えていると母親から「学校遅刻するわよ」と言われ、アプリのことなどすっかり忘れて家を出た。 なんだろうか。身体が重たい。妙に重たい。妙といえば日陰では身体がとても軽いのに日に当たると身体が重たいのだ。疲れてるのか?そう思いながら影を中心に歩く。 今何分だろうか。ふと時計を見るために珍しく持参したスマホの画面をつける。「your ability is Shadow」通知だ。影?どういうことだろうか。通知をタップすると謎のアプリが起動される。そこに一つのアイコンが表示された。人が移動するイラストが描かれている。試しに押してみる。すると目の前の影が急に近づいてくる。 後ろを振り返るとさっきまでいた場所がそこにあった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!