412人が本棚に入れています
本棚に追加
カツンッ
カツン カン カンッ
わたしは青くなり、階段を跳ね落ちてゆくボールペンを追い掛ける。
そのまま手すりをすり抜け、下を歩く人の頭に刺さった。
やってしまった──
「ごめんなさいっ! 大丈夫ですか!?」
わたしは慌てて階段を駆け下りた。
振り返り見上げてきたのは、若い男の子。
「大丈夫ですけどー……そちらは?」
「えっ?」
「ストッキング」
ボールペンを受け取りつつ、指差された脚を確認して、ぎょっとした。
ボールペンが掠ったからか、更に走ったからか、豪快に伝線が入ってしまっている。
「……ご指摘ありがとう」
自分の顔が引き攣っているのがわかった。
即、踵を返してわたしはその場から逃げる。
よりによってあんな若い男の子に、なんて醜態を!
最初のコメントを投稿しよう!