410人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう一度、考え直して欲しい……。せめて1ヶ月。俺との将来も含めて……」
……将来?
わたしとの将来を、考えていたの?
紘希が手を取ったまま、わたしの目を真っ直ぐに見つめた。
今までのどんな時よりも、真剣な眼差しで。
「俺は、一緒になるのは、莉南しか考えられない」
思いがけない言葉に、胸が高鳴ってしまう。
だけど……その言葉、どうしてもっと早く、言ってくれなかったの?
わたしは唇を噛んで俯いた。
紘希が触れている反対側の手を、膝の上でぐっと握った。
泣かない。
もう泣かない。
「……今日は、帰る……」
静かに紘希の部屋の扉を閉めて、真上に光る月を見上げた。
はっきりと拒否することが出来なかった。
嬉しいとか感じてないと言ったら、嘘になる。
この後に及んで、何を考えているんだろうか、わたしは。
最初のコメントを投稿しよう!