将来の夢

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「WEBデザイナーってわかりますか?」 「……ホームページ作る人?」 「そう。その人になろうと思ってるんです」 成海くんはわたしの稚拙な返答に、くすっと笑った。 「僕の夢、見て貰えますか」 成海くんは、あの大きなバッグからノートPCを取り出した。 「パソコンも入ってたんだ」 「ええ、必需品なんで」 するとブラウザを開いて見せてくれた。 「これが僕のポートフォリオサイトです」 「ポートフォリオサイト?」 「就活にも使用するんですけど、まぁ作品集ですね。 好きに触ってみて下さい」 ポインタを動かしてみると、サイトの背景が動いた。 「わっすごーい! この動いてるのも、成海くんが作ったんだよね?」 成海くんは微笑んで頷く。 クリックして開いたページの解説が入る。 「それは大学の学祭のサイトで、委員やってた時に作って」 「へぇ~可愛い~! 実際の学祭、楽しそうだな~。なんか想像力が膨らむ……」 顔を上げると、成海くんは見たことのないような、素敵な顔で笑った。 「それ最高の褒め言葉」 心臓を鷲掴みにされたように、急速に鼓動が早まる。 同時に、成海くんが純粋に羨ましくてたまらなかった。 「……美大生ってみんなこのくらいの時期に就活してるものなの? 4年生だよね」 「はい、年明けて卒制終わってからする人も少なくないし、もしかして早い方かも。でも、就職浪人はしたくなかったんで」 成海くんの様子を眺めながら、感じた。 きっと、自分の働く姿とか、仕事ぶりとか、イメージが出来ているからこその言葉なんだろう。 「成海くんは、きっと大丈夫だよ。ちゃんと未来のビジョン描けてるもの」 返した笑顔は、寂しげに映ってしまっただろうか。 少し成海くんの表情が曇る。
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