最後の時間

3/9
前へ
/75ページ
次へ
仕事について、成海くんに言われたことを真剣に考えた。 正社員になることが、わたしのモチベーションになる……その通りかもしれない。 成海くんも頑張っている。 今も何処かで、面接を受けているかもしれないし、履歴書を書いているかもしれない。 遅い昼休み、お弁当を口に運びながら、窓の外を見上げた。 課長と面談した。 「正社員の話、受けさせて下さい」 わたしの言葉に、課長はにっこりと微笑んだ。 「これから1ヶ月、猛特訓だよ」 「はい」 試験に向けた勉強と、面接練習の日々を送った。 毎日家に帰ってから、2時間は机に向かった。 ほぼ昼出勤シフトのわたしは、朝早く行って、練習の時間を取って貰った。 忙殺されるような毎日。残りの時間は睡眠に当てた。 大変だけれど、充実していた。 恋愛のことを考えずに済んで、少し気が楽だった。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加