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わたしの鼓動はどんどん加速していく。
会ったら必ず伝えようと、決めていた。
もう、後悔したくないから──
「冴……」
わたしは思い詰めていて、成海くんが話し掛けようとしてくれていたことには気付いていなかった。
わたしは勢いよく顔を上げ、言葉を探しながら話し出す。
「成海くん。話したいことあるんだ……今日の帰り、時間もらえる……?」
「……はい」
成海くんは真剣な表情で、返事だけを口に出した。
それで会話は終わってしまい、そのまま業務も終了した。
こんな時に限って社員さんに捕まり、出遅れてしまった。
ロッカーの周辺は、既に人っ子ひとりいない。
成海くん、何処へ行ってしまったんだろう。
まさか、帰っちゃった?
滲みそうな涙を堪えて、辺りを走り回る。
成海くん、報告したいことがあるよ。
言ったら、喜んでくれる?
あなたに追いつけるような自分でありたいよ。
休憩室を出て廊下を進むと、階段を降りようとしている成海くんの姿が見えて来た。
やっと、追い付いた──
「うわっ」
「きゃあっ」
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