再生

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勢い余って階段を踏み外し、踊り場の成海くんの上に倒れ込んでしまった。 「わーっ、ごめんねっ!?」 「いて……はは、莉南さん勢い付け過ぎ」 成海くんが笑顔を見せた。 久しぶりに、心からの笑顔を見られたような気がした。 名前で呼んでくれた……。 嬉しくて、心臓が高鳴ってしまう。 「……あのね、わたし、正社員に採用されたよ」 そのままの姿勢で、成海くんを真っ直ぐ見つめた。 「ほんとですかっ!? おめでとうございます!」 驚きと喜びに満ちた表情で答えてくれた。 そして、嬉しそうにつぶやく。 「そっか……莉南さん正社員受けたんだ」 「……成海くんのおかげだよ」 「俺なんもしてないし。莉南さんが頑張ったからでしょ」 優しく微笑み返してくれた。 その暖かな笑顔に気が抜けたのか、突然涙が溢れてしまった。 「莉南さ……」 「……ずっと、不安だった……もうこんな風に笑い合えないんじゃないかって……」 成海くんは切なそうな顔をして、わたしを見ていた。 「ごめん……そんなこと思ってくれてたんだ……」 成海くんの指がわたしの頬に触れて、涙を拭う。 「だって、成海くんわたしのこと避けてた」 「それは……」 「年齢知ってから、避けてた!わたしは、成海くんのことが」 「ストップ」 成海くんが、わたしの唇に人差し指を立てて触れた。 「もう、充分わかったから。後で説明するから、最後は、俺に決めさせて?」 成海くんの熱い眼差しが、涙で滲んだ目にも映り込んで来て、ドキドキした。 「好きだよ」 右手はわたしの頬に触れ、左手で腕を引っ張られて、唇が重なった。
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