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「莉南さん断ちしてたから、今日はいっぱい味わわせて」
味わうって……その言葉に、真っ赤になってしまったわたしの耳を、成海くんがかじる。
漏れ出てしまいそうになった声を、堪える。
「我慢しないでよ、声……」
恥ずかしくて、口元を押さえて首を横に振る。
成海くんの手が、わたしの脚の方へと伸びる。
足首から膝へと、ストッキングの上からなぞられて、ゾクゾクする。
「あの日……莉南さんのストッキング伝線してたあの日」
「いやー! それはもう忘れて……」
あの失態を思い出して、顔を覆う。
「忘れない。あの日チャンスが降ってきたって思ったんだから」
え?
よくわからずにきょとんとしていると、成海くんが語り始める。
「莉南さんに近付くチャンスが俺にも来たって思った。同じグループになれたことも、その日にあんな近付くキッカケが出来たことも」
わたしは成海くんの言葉に驚く。
「だから、ちょっと無理してでも莉南さんの心臓揺さぶってやろうと思って。我ながらすげー恥ずかしいことやったなって」
赤くなった顔を腕で隠す成海くんが可愛くて、今もわたしの心臓は充分揺さぶられている。
「あの日から始まったんじゃなかったんだ……? そんなこと思ってたなんて……知らなかった」
わたしも釣られて赤くなりながら返すと
「初めて言ったもん」
成海くんはいたずらっぽく、少し舌を出して見せた。
「前のグループいた時、1回だけ喋ったんだよ、覚えてないだろうけど。席離れてるし仕事上の関わりもほとんどなかったし……」
成海くんが、わたしのブラウスのボタンをゆっくりと外し始めた。
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