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「俺、莉南さんのことやっぱり信じてるよ。きっと大丈夫」
「うん……」
「何か不安な時とか、思ってることがある時は、ちゃんと話し合いしよう」
「うん……」
わたしは涙が止まらなかった。
あぁわたし、その言葉が欲しかったんだ……。
言われて、初めて気付いた。
成海くんは思っていたよりずっと、もしかしたらわたし以上に、大人なのかもしれない。
その後は、ベッドの軋む音と、彼の体温だけが、強く印象に残っている。
「莉南さん……っ」
わたしの上に覆いかぶさる熱い身体を、抱き締め返す。
「……新……っ あらたっ」
繋いだ手を、握り返して
何度も唇を重ねて
お互いの身体に触れて
痕を残した
全てさらけて、身も心も通じ合った気がした、幸せな夜だった──……
あれから1ヶ月。
今日は、10月最初の出勤日。
始業のミーティング時に課長から促され、みんなの前に立った。
「本日より正社員としてお世話になります。冴木莉南です。よろしくお願いします!」
みんなからの拍手を受けながら、身が引き締まる思いだ。
日曜日のため、新も同じ時間からのシフトだ。
みんなの目を盗んで、ピースサインを送ってくる。
わたしは笑顔を返すと同時に、仕事スイッチが入る。
「今日からは今まで以上にビシビシ行くからねっ成海くん!」
「はーい……」
苦虫を噛み潰したような顔をしている彼と、上機嫌のわたしとのやり取りが面白かったのか、周囲から笑いが起こった。
スイッチが入る。
「今日からは今まで以上にビシビシ行くからねっ成海くん!」
「はーい…」
苦虫を噛み潰したような顔をしている彼と、上機嫌のわたしとのやり取りが面白かったのか、周囲から笑いが起こった。
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