眠れる者達に幸あれ

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親友とは大学の登山部で知り合った。 偶然にも同じ学部で、講義も同じものを取っていたので、共に行動する機会が他の友達とくらべて多かった。なので、私達が親友と呼べる間柄になるまでにそう時間はかからなかった。いつしか二人で登山チームを組むようにもなり、共に過ごす時間はさらに増えた。 その親友の名は、大貫という名だった。 大貫と私は、ひまさえあれば常に登山に勤しみ、登頂が困難な山脈も二人で力を合わせ、ときには殴り合いの喧嘩もしながら、有名な山脈の数々を登頂した。 着実に実績を積んだ私達は、いつしかその業界では有名なペアとなっていた。 だが、そんな順風満帆な生活とキャリアを全て捨てなければならない事件が起きた。 二十年前。私は山で大貫を殺した。
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