眠れる者達に幸あれ

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ある山脈の下山途中。山の天気が急に崩れた。 さきほどまでは、海底の山脈を遊泳していると錯覚してしまうほど、空は海のように深く、青かった。しかし今はそんな美しい空など存在せず、かわりに上空から土石流が襲ってくるような空が広がり、私達のすべてを飲み込もうとしていた。しかし、山の神の指示に従ってそれは実行されず、空の神はしかたなく私達を襲うのを待ってくれているかのような天候だった。 大貫の判断でその場でテントを張ることにした私達は、テキパキと準備をし、5分とかからず完成させた。その直後、私達の準備が終わるのを待っていたかのように、紙吹雪だと錯覚してしまいそうな雪が、空から落ちてきた。 私の顔に付着する雪は東京のどっしりとした雪とは異なり、余計な水分を含まない雪だった。その雪は猛吹雪に成長する性質をはらんでいた。 その後、大貫と私の予想通り、ひらひらと舞い散るだけだった雪は、あっというまに猛吹雪へと成長し、外のすばらしい風景の全てを、無に塗り潰した。
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