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扉の先の光景が、意外と都市のような雰囲気で驚いた。
無意識に、田舎を想像していたのかもしれない。
ガラスの自動扉がついた、都会にしては低い建物が多い街、という印象だった。
未来都市、と言われれば、納得するかもしれない。
「え?」
ふいに目の前に現れたものに、私は一瞬、自分がお話の世界に入ってきたのでは、と思った。
そこにいるのは、手の平に乗るサイズの、羽根があって空を飛んでいる……妖精?
綺麗に巻かれた金のロングヘアがよく似合っていて、人間なら、20代前半の女性に見える。
それが私の正面にやってきて、話しかけてきた。
「はじめまして、山田咲子さん。私はミミル。ここの入国管理の担当よ。
あなたは招待入国につき、入国審査は必要ないから、このカードを持って、すぐそこの建物に入って」
どうして、私の名前を知っているの?
軽い驚きもあったし、わけがわからないが、とりあえず、その妖精の言うとおりにしてみる。
カードは、よくあるICカードのような厚さ、形状で、カラフルな模様が描かれていたが、何のカードなのか、よくわからなかった。
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