私の得意分野

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2階に上がると、カウンターにいた妖精たちは、各々、くつろいだ様子でいた。 緊張感がない。 正確には、1人だけ真面目そうな女性がいるが、私が上がった途端に消えた、まるで少年のような妖精は、どこへ行ったのだろうか。 「こんにちは! 私はマーナ。才能テストね? そこへかけてらして」 真面目そうな女性の言葉に従った瞬間、スカートがめくれ上がる。 「きゃっ!」 慌てて押さえる。と、ニヤリとした表情の男性妖精…… 「やあ、おいらソート。よろしくな!」 どうも、見た目も子どもっぽい。 中学生くらいの年齢だろうか。しかし、やっていることは、まるで5歳児だ。 「ちょっと! 失礼じゃない!」 こちらが怒ってみても、どこ吹く風だ。 今度は、カウンターへ飛んでいって、マーナが持っていたはずのペンを、宙に浮かべてしまう。 カウンターで、クスクス笑っている、もう1人の女性妖精。 この子も17くらいに見える。 「あら、ごめんなさい。私はリリー」 リリーと名乗った妖精は、バインダーに挟んだ紙の束とペンを持ってくる。 「まずは、アンケートに答えてね!」 真面目に言いながらも、相変わらず、クスクス笑っている。 なんだか、妙な妖精たちだ。仕事ではないのだろうか。 渡されたアンケートは、就活で受けるような興味テストだ。 けれども、変わった項目も入っている。 たとえば、「家に籠って内職をするのが好き」とか、「手づくりのモノに心が惹かれる」といった項目は、通常、あまり見かけない。 それに、「毎日ゲームばかりしていても飽きない」「最新のガジェットを真っ先に試してみたい」などという、妙な項目まである。 「ちゃんと、正直に答えてね。 時々、本当のこと書かないで、才能見つけるのに、時間かかっちゃう人、いるから」 マーナから忠告が飛んでくる。
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