0人が本棚に入れています
本棚に追加
2階に上がると、カウンターにいた妖精たちは、各々、くつろいだ様子でいた。
緊張感がない。
正確には、1人だけ真面目そうな女性がいるが、私が上がった途端に消えた、まるで少年のような妖精は、どこへ行ったのだろうか。
「こんにちは! 私はマーナ。才能テストね? そこへかけてらして」
真面目そうな女性の言葉に従った瞬間、スカートがめくれ上がる。
「きゃっ!」
慌てて押さえる。と、ニヤリとした表情の男性妖精……
「やあ、おいらソート。よろしくな!」
どうも、見た目も子どもっぽい。
中学生くらいの年齢だろうか。しかし、やっていることは、まるで5歳児だ。
「ちょっと! 失礼じゃない!」
こちらが怒ってみても、どこ吹く風だ。
今度は、カウンターへ飛んでいって、マーナが持っていたはずのペンを、宙に浮かべてしまう。
カウンターで、クスクス笑っている、もう1人の女性妖精。
この子も17くらいに見える。
「あら、ごめんなさい。私はリリー」
リリーと名乗った妖精は、バインダーに挟んだ紙の束とペンを持ってくる。
「まずは、アンケートに答えてね!」
真面目に言いながらも、相変わらず、クスクス笑っている。
なんだか、妙な妖精たちだ。仕事ではないのだろうか。
渡されたアンケートは、就活で受けるような興味テストだ。
けれども、変わった項目も入っている。
たとえば、「家に籠って内職をするのが好き」とか、「手づくりのモノに心が惹かれる」といった項目は、通常、あまり見かけない。
それに、「毎日ゲームばかりしていても飽きない」「最新のガジェットを真っ先に試してみたい」などという、妙な項目まである。
「ちゃんと、正直に答えてね。
時々、本当のこと書かないで、才能見つけるのに、時間かかっちゃう人、いるから」
マーナから忠告が飛んでくる。
最初のコメントを投稿しよう!