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一通り答えると、待っていたリリーに用紙を渡す。
リリーが笑っているところを見ると、またソートが何かやらかしたのだろう。
と、カウンターとは逆の方向の壁に、何やら統計表のようなものが映し出される。
アンケートの結果?
「冗談や雑談は、苦手みたいね。
接客や対人重視の仕事は避けましょう。
あなたの興味がモノづくりの領域や内職の領域で高いところを見ると、クリエイティブ系コースが候補になるわね」
マーナが冷静に分析している。
「微細運動とライティングテスト、受けてみて」
微細運動テストとは、どうやら、手先の器用さを確かめるテストのようだった。
縫い針に糸を通すとか、折り紙を折るとか、単純だけれども細かい作業を、ひたすら行うこと30分間。
続いて、テーマに沿って、パソコンで情報を集めて、文章を作成するという、ライティングテスト。
ただ、作文はあまり得意ではない。
ライティングテストの結果は、芳しくなかったのだろう。
一方、器用さには自信がある。
「最初に試すのは、職人コースね」
マーナが、きわめて真面目に言う。確かに、モノづくりなら、割と合っているかもしれない。
「おっしゃぁぁぁ!」
ソートが、大声で叫びながら、懐から杖を出して振る。
と、「ドン!」という衝撃音とともに、キラキラした、金属質の扉が出現した。
「ここから入るんだよ! あとは、この先の人が教えてくれる」
楽しそうな様子のソート。
なんとなく、元気をもらえた気がする。
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