ファンシー

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連日のニュースに映る中継映像。今でも鮮明に覚えている。空が割れて1時間くらいは、SNSに大量に上げられた個人撮影の映像がテレビに流れていた。しばらくすると、映像は現地に到着した報道スタッフらによる中継に切り替わった。 多くの場合、その撮影対象の規模と異常さを知らせるため、東京タワーやスカイツリーなどと一緒のフレームに収められて放送されていた。 見栄えを気にするあまり、空にあるものを映すにしてはやや強引な角度で撮影した局もあったが、それでもフレームの大半を占拠してしまうほど、その亀裂は巨大だった。 その映像を見ながら、誰もが思ったもんだ。「世界が変わってしまった」と。 だが、それは始まりにすぎなかった。残念なことに。 世界が変わるのは、それからだった。 あれは、約1ヶ月後だったか。その亀裂から、落下物を確認したのは。 落下物、と言っても、小規模なものではない。直径約50mほどの大きさだった。 それが都心に落ちれば被害は甚大で、しかし当時すでに避難は済んでおり。 だが結局、そいつは落下しなかった。 それは、降り立ったのだ。
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