ファンシー

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「う、嘘を言えッッ!年齢性別もあれだがどう考えても極道なおまっ」 何の気なしに、タバコの先端を巨大な目に当てる。 「うぎゃああああああッ!!!」 「いやさ、だから言ってるじゃん。世の中何が起こるかわからないよねって」 だが、そいつの気持ちがわからんでもない。今の俺の外見、ふと右を見て、家電量販店跡地に残るガラス窓、そこに反射する自分の姿を見る。 ストライプが入ったグレーのスーツ。ネクタイを付けずに胸元を大きく開いたブラックのワイシャツ。そこから覗く[彩]。 見るからに高級な革靴に、輝く腕時計。ブランド物のサングラスに隠れた目はそれでいながら鋭く威圧感を放ち、くっきりと太い眉は眉間にシワが寄るほどに寄せられて。 前髪は全部後ろに流し、程よく日に焼けた肌にはやや血管が浮かんでいる。口元には程々に整えられた口ひげ顎ひげ。 法令線を含め幾つかのシワが入って年季を感じさせるが、それは顔の劣化というよりは[こうあるべき]、というような奇妙な完成感を醸し出して表情に影を形どる。
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