大切な人

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毎日見舞いに通ってくれる兄夫婦のおかげで、1週間後には退院することになった。 まだ倒れたときの記憶はないけれど、検査の結果は良好。 医者にもなにか衝撃的なことでも起こったのではないかと言われたけれど、やはり記憶はないまま。 退院の日に迎えに来てくれた兄に連れられて病院を出た。 兄の車で帰る途中、駅前の大きな交差点にさしかかった。 スクランブル交差点には数え切れないほどの人が行き来している。 「お前ここで倒れたらしいぞ」 「ここ? こんなに人がいっぱいいるところで?」 「そうだ。すごい騒ぎになったらしい」 .
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