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別れ際に見た藤坂さんの目が忘れられなくて、その夜はよく眠れなかった。
当然翌日は仕事をしていても上の空になりがちで。
なんとかオーダーミスはなかったものの、ぼんやりしていて琴乃さんから何度か注意を受けた。
「彩ちゃん、大丈夫? 具合悪いんじゃない?」
「そうだぞ、無理してまた倒れたらどうするんだ」
昨日店で一度倒れているせいで、兄も気にしているのがよくわかる。
「だから今日も休めばよかったのに」
そう言われたけれど、家でひとりの方が気がめいりそうな気がした。
「ごめんなさい。でも大丈夫だから」
トレイを持って空いた席の食器を下げに向かった。
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