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真っ白な視界の中、少しずつ離れていく人影に手を伸ばす。
何度名前を呼んでもその人は振り返ることなく、少しずつ小さくなり、そして消えていった。
力なく座り込み、溢れる涙もまた白の中に吸い込まれて消えた。
次に感じたのは誰かの名前を必死に呼ぶ男の声だった。
さっきまでの自分を思わせる、必死の叫びにも似た呼び声。
誰の声だろうと顔を上げて耳を澄ますと、次第に様々な音が飛び込んできた。
脈拍を図る電子音。
人が慌ただしく移動する音。
1番大きな音は、やはりさっきからずっと名前を呼ぶ男の声だった。
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