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「彩、目を覚ませ。彩」
あ、お兄ちゃん……。
その声の正体に気が付いたとき、一気に意識が戻る感覚に襲われた。
ゆっくり目を開けると、先ほどのなにもない真っ白な世界とは違う白い景色が広がっていた。
白い天井とカーテン、ぶら下がった点滴。
ふと気付いた手を力強く握るぬくもりは、やはり心配顔の兄の真治だった。
「彩、目を覚ましたのか。俺がわかるか?」
「おに、ちゃん」
なぜ兄が泣いているのかもわからず、そして自分がどうしてベッドに横たわっているのかもわからなかった。
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