大切な人

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きっと直人は私が来年30歳になることを気にしている。 そんな素振りは見せないけれど、直人はそういう人だ。 もちろん仕事も順調で、アイドルでもない彼が結婚したところで誰に文句を言われることもない。 「だから撮影から帰ったら、お兄さんに挨拶に行こう」 「うん」 きっと兄は驚くだろう。 恋人の存在すら話していなかったのだから当然だ。 両親が早くに亡くなった私にとって、兄は親代わりでもあった。 それでも年頃になるとなんでも話すというわけにもいかなくなった。 .
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