7425人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
「彩、この部屋引っ越した方がいいんじゃないか」
「でも……」
「思い出があるのはわかるけど、もう2年だ。このままだと彩のためにならない。その直人ってやつの荷物は、俺が責任もって家族に渡してくるから」
「でも……」
この部屋はまだ直人がいたときのまま変わっていない。
洗面所の歯ブラシもスリッパも、食器もすべてあの頃のまま。
「お前自分の顔見て見ろ。そんな顔、その直人ってやつが見て喜ぶと思うか?」
当然こんなにやつれた顔を見たら、きっと直人は心配する。
もしかしたら怒るかもしれない。
.
最初のコメントを投稿しよう!