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「出来ないじゃなくてするんだよ。一生このままじゃいられないんだから」
「そうよ。きっとそのほうが直人さんも喜んでくれると思うわ」
「わかった」
ふたりにそこまで言われてようやく引っ越す決心をした。
すみれの助けを借りて、直人の家族に遺品を渡す段取りもついていると聞いて、ようやく遺品を手放す決心も出来た。
「部屋はうちの近くでいいだろ。しょっちゅう様子を見に来るのも近いほうがいいし」
「それはだめだよ、しんちゃん。彩ちゃんも年頃なんだから、兄貴に干渉されたらいやでしょ、ね」
「まぁ、そうですね」
10歳離れているせいか、兄は子供のころから可愛がってくれている。
それはとてもありがたいことだけれど、両親を亡くしてからさらに過保護ぶりが目立つ。
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