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真剣に話し合ってくれる兄夫婦の好意に甘えて、部屋を探すことになった。
そして迷った末、引っ越しを機に勤めていた会社にも退職願を出した。
ありがたいことに、上司も同僚たちも引き留めてくれた。
それでもいつ復帰できるわからないので、これ以上迷惑をかけるわけにもいかない。
慕ってくれていた後輩には泣かれてしまったけれど、思い切って決断した。
しばらくは貯金を切り崩して生活するつもりだった。
新しい部屋には直人が撮った写真だけを残し、衣類やカメラなどの遺品はご家族に。
使わなくなった直人の日用品は思い切って処分した。
決して直人を忘れて再出発するというわけではなく、思い出にして生きていくことに決めた。
綺麗に片付いた部屋を見て、少し前向きな気持ちになれたのも兄夫婦のおかげだと思う。
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