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「ねぇ、よかったらうちで働かない? 最近忙しくて手が足りなくなってきてたの」
「ここで、ですか?」
どおりで琴乃さんが私に親身だと思った。
きっとこうなるように彼女の中では決まっていたのだ。
学生時代、私がカフェでアルバイトをしていたことを、兄から聞いていたに違いない。
ちょっとでも私を外に連れ出そうと、彼女なりの優しさだろう。
仕事も辞めてしまったし、貯金を切り崩して生活するのにも限度がある。
いつまでもそんな生活が出来ないことはわかっていた。
かといって今すぐどこかに就職する気持ちにもなれない。
リハビリのつもりで来てくれればいいという琴乃さんの言葉に頷いた。
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