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犯罪が起こったわけではなかったので、ニュースにはならなかったけれど、相当な騒ぎになったと教えられた。
気を失っていたからよかったものの、いや良くはないのだけれど。
きっと人だかりの真ん中で倒れていたと思うと、今更恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
「ここに来てもなにも思い出せない」
「思い出させようと思って連れてきたわけじゃないし、ゆっくり思い出せばいいだろ」
帰り道に通りかかっただけなのはわかるけれど、出来れば早く思い出したかった。
そしてなぜか思い出さなくてはいけない気がした。
自宅につき、鍵を開けてドアを潜ると、いつも通りなにも変わらずすべてがそこにあった。
たったひとつを除いては……。
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