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「直人……」
「どうした?」
なぜ忘れていたのかも不思議なくらい、その部屋には直人の痕跡がいくつも残されていた。
また意識を手放しそうになって、兄に支えられてソファに腰を下ろした。
「直人が……」
「直人って?」
直人は3年付き合ってきた恋人だった。
ただ離れて暮らす兄に報告はしていなかった。
だから兄が直人のことを知っているはずもない。
自宅に戻った途端にすべての記憶がフラッシュバックのように戻り、急いでカバンからスマホを取り出した。
横で心配そうにしている兄に構う余裕はない。
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