大切な人

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電源の切られたスマホを起動し、着信履歴を開いた。 そこには倒れたあの日、あの時刻に通話していた記録が残されていた。 相手はテレビ局に勤める友人の泉川すみれだった。 思い切ってコールボタンを押す。 3コール程呼び出して、コール音が途切れた。 「もしもし。彩? ちょっと話の途中で電話切ってなにしてたのよ! 何回かけなおしても出ないし、心配したでしょ」 そうだ、すみれからの電話で気を失ったのだ。 どんどん記憶が鮮明になっていく。 「うん、ごめん。あの後気を失ったみたいで入院してたの」 「そうだったの……」 .
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