重なる面影

2/32
7421人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
藤坂さんは直人のことを知らないのだから仕方がない。 そうわかっていてもやはりさっきの言葉はかなり応えた。 あの顔で言われたから、尚更衝撃的だった。 もう会えないということは別れたと同じ。 別れていないとは反論できなくて。 きっと突然走り出した私を見て、藤坂さんは驚いただろう。 泣いてしまったことがばれていなければいいのだけれど。 次どんな顔をして会えばいいのだろう。 出来れば会いたくないな。 そう思えば思うほど、遭遇してしまうもので……。 家を出る時間を5分遅らせたのに、翌朝のエレベーターで、また遭遇してしまった。 .
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!