第1章 菓絵と優太

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「すごく美味しいですね」  私はついつい調子に乗って、生ビールをジョッキで三杯も飲んでしまった。  酔わないようにセーブしているのだろうか。優太さんは一杯しか飲んでいない。 「眠そうに見えますが、大丈夫ですか?」  私はうとうとしていたようで、優太さんに声を掛けられて目が覚めた。 「大丈夫です。食事中に眠ってしまって、どうもすみませんでした」 「いいんですよ。このコーヒー牛乳を飲んでください」  私がうとうとしている間に買ってきてくれたのだろうか。優太さんがコーヒー牛乳の入った瓶を手渡してくれた。 「どうもありがとうございます」  私は眠気を覚ますため、優太さんが買ってきてくれた冷たいコーヒー牛乳を一気に飲み干した。    お酒を飲んだ後のコーヒー牛乳も最高に美味しい。 「どうもご馳走様でした。すごく美味しかったです」  味噌ラーメンと餃子とレバニラ炒めに生ビールをジョッキで三杯とコーヒー牛乳。私のお腹はパンパンに膨れ上がっている。 「今日は、付き合ってもらったお礼として、僕がおごりますね」 「いえいえ、自分の分は自分で支払います」 「それでは僕の気が済みません。どうかおごらせてください」  とても真剣な眼差しで、私に懇願してきた優太さん。  こういうときは、素直に好意を受けるべきなのか。自分の分は自分で支払うべきなのか。私はどうしたらいいのかわからなくなってしまい、ラーメン屋さんのおじさんの顔を見た。  笑顔で頷いてくれたので、優太さんの好意を素直に受けることにした。
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