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優太さんと一緒に歩いているうちに、だんだん酔いが醒めてきて、十一時過ぎに我が家に着いた。
家を空けたのは、九時間くらいだったけど、今日はいろんなことを体験してきたので、三日間くらい家を空けていたような感覚。
「夜遅くまで付き合ってくれて、どうもありがとうございました」
私を家まで送り届けてくれた優太さんは、麦わら帽子を脱いで、丁寧に頭を下げてお礼を言ってくれた。
「私こそ、本当にありがとうございました。今日はとっても楽しかったです」
私も麦わら帽子を脱いで頭を下げて、夢のような時間を与えてくれた優太さんに感謝の気持ちを伝えてみた。
「楽しんでもらえて本当に良かったです」
とびきりの笑顔で応えてくれた優太さん。本当に純粋な人なのだと改めて思った。
「それで、あの、菓絵さんにお願いしたいことがあるんですが、僕のお願いを聞いてもらえないでしょうか」
「あ、はい。何でも言ってみてください」
急に真剣な表情になった優太さんの顔を見て、私はドキッとした。
優太さんのお願いとは……いったい……。
「ちょっと恥ずかしいことなんですが、僕も菓絵さんのお絵描き教室に入ってもいいですか?」
「……お絵描き教室のことでしたか」
正直なところ、私は別のことだと思っていた。でも、優太さんが私のお絵描き教室に入ってくれるのは嬉しい。
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