第1章 菓絵と優太

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 ふんふん♪ ふふふん♪ ふふふふふーん♪   私は鼻歌を歌いながら家に入り、優太さんがプレゼントしてくれた二機の紙飛行機を机の上に飾って、今日の出来事を祖父母に報告してみた。  来週の土曜日も……。  私は嬉しさのあまり、今後のことを何も考えず、勢いだけで返事をしてしまった。  優太さんは土日と祭日がお休み。私は平日の水曜日がお休み。来週の土曜日も優太さんと一緒に秘密の丘に行くには、来週の土曜日の午後も臨時休業にしなければならない。それか、思い切って定休日を変えるかだ。  でも、ずっと変えていない定休日を変えることには大きな抵抗がある。  また土曜日の午後だけ臨時休業にするべきなのか。思い切って定休日を変えるべきなのか。すぐには決断できない。 「おじいちゃんとおばあちゃんにとても大切なお話があります。さっき報告したとおり、今日という日は、ここ数年間の中で、いちばん記憶に残る素敵な日になりました。私は来週の土曜日も、優太さんと一緒に秘密の丘に行きたいです。定休日を、水曜日から土曜日に変えてもいいでしょうか」  祖父母からの返事はない。いつもの表情のまま。こういうときは、自分で考えて決めるしかない。  私は思い切って決断し、定休日を水曜日から土曜日に変えることに決めた。  自分に都合のいい考え方かもしれないけど、私を見守り続けてくれている祖父母なら、いいと言ってくれていると思う。
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