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僕は、一時期大量生産された、作業用ロボットR327-S3。
人口減少が著しい日本において、人手不足解消のために開発されました。
見た目は普通の人間と変わりありません。
プログラムによって、家事や介護、医療、サービス業、土木建築…どの分野にも対応できるのです。
…の、はずだったのですが。
僕は、ある家庭に家事代行のため派遣されました。
プログラム通りに、家事をこなしていたのに。
その家庭には、生まれたばかりの小さな赤ちゃんがいました。
赤ちゃんは、突然泣き出すものです。
僕はそのたびに、プログラムが飛んで、エラーを起こし、何をすればいいのかわからなくなってしまうのです。
鍋を火にかけっぱなしにしたりだとか、洗濯機に入れる洗剤と間違って漂白剤を入れてしまうだとか、床を水拭きするはずが大量のワックスを塗りたくりご主人を滑らせてしまうだとか…
とうとう雇い主を怒らせて、僕は返品されてしまいました。
そんなロボットは、「不良品」として、安く売りに出されてしまいます。
僕もタダ同然で売りに出されました。
その先は
「外崎造園」
という小さな小さな会社でした。
「こんにちは」
事務所兼、自宅を訪れた僕を迎え入れてくれたのは
「おお!よく来たな!」
この、外崎社長。
僕を見るなり、抱きついてきたから、驚きました。
まだ、20代の若い社長です。
前社長だった父親を去年亡くし、後を引き継いだばかりでした。
従業員は、若く頼りない外崎社長にはついていけないと、全て辞めてしまったそうです。
それで、安く僕をお買い上げいただいたのです。
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