私達の暴露

3/9
前へ
/9ページ
次へ
 そんな私だけど、実はとんでもない秘密を抱えている。  人なんて大体、特に会社の人間相手なら、友達でもあるまいし、猫をかぶる生き物だ。  私もつまりはそういう事で猫を被っている。  社長のくだらない過去の浮ついた話に「えーひどーい」なんて、ニコニコ言いながら、恐らく私の方が酷く浮ついている。  清純で、曲がった事は嫌い。  常識があって、道をそれた事はしない。  会社の人間は、私をそういう風に見ている。  でも実際の私は、結婚する前から他に不倫関係になっている男性が居たし、つまり今はダブル不倫の状態にある。  それだけじゃ物足りない私は、不倫相手の男性と良く行くバーの店長とも関係を持っている。  言ってしまえば、どうしようもない女なのだ。  そんな私が、密かに思っていること。  それは、会社を辞める時に、専務を誘惑してみようという計画。  社長の息子だと思うだけで虫酸が走りそうなところだけれど、それを上回る位に専務は優しいし、私のタイプ。  私は、上司として、という気持ちとともに、男としても専務を見ていた。  ただ、私が見ている専務は、仕事熱心で家族思い。  子供と遊びに行った話もよく聞くし、奥さんを大事にしているような空気も漂わせている。  そんな専務に、こんな小さな会社で、まだ辞めても居ないのに下手に手を出そうとするのはリスクが高すぎる。  大体が、専務は私の誘惑になんて乗らないだろう。  これは言ってしまえば、三年前から続く、どうしようもない私の、小さな小さな片思い。  
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加