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「で、どうして彼女は、踊ってるのですか?」
この春、新人採用でこの学校に赴任してきた
枯尾 花音 ( かれお かおと)
は、いつも絶さない笑顔のまま噂好きの女子生徒に尋ねる。
「えー、発表会前に事故死したとか?」
「疑問符ですか……」
「だって、私だってセンパイからの又聞きだもん。それに、噂は曖昧がいいんじゃん?」
「そんなものですか?」
「そーんなものです!」
女子生徒は胸を張って笑う。
「僕は物事をはっきりさせたいタイプなので、噂は検証、調査をするのが好きですよ?」
至って真面目に言ってのけると、生徒は引いた様子で笑う。
「マジで真面目君だね、センセ。ずっと?」
「ええ、まぁ…高校の時には“夜中のトイレの呻き声”について調べたところ…」
「えっ、何?」
生徒は食い入るようにきく。
「なんと!……警備員さんが毎夜トイレで頑張っていただけでした」
その残念なおちに爆笑の嵐がまきおこる。
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