誰が茉都香を殺したのか?

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菜摘の怪談話に辟易させられた翌々日の夜中、首の無い茉都香の亡霊が、突然現れて、私の枕元に立った。ううん、正確には夢枕が正しいかな。菜摘の嘘が本当になったのかしら。 「栞・・・あたし彼に殺されたの。たすけて」 “え?・・・殺された?彼って誰のこと?” 確かに首のない彼女はわたしに向かってそう言った。首がないのにどうやって言ったのかは、わたしにもよく解らない。 ただ、首のない茉都香は、あの日の夜と同じでわたしの眼を見る事は決してなかった。 だが、まごうことない茉都香の声であるのは確かだった。 信じたくはなかった。でも恐らく茉都香はもう死んでいるに違いない。 理由もなくわたしは確信した。 でも不思議なことに怖くはなかった。ただ、どうしようもなく悲しかった。 “わたしはどうしたらいいの?茉都香、今何処にいるの?” 「解らない。何も見えないの。今、夏だよね。でもなんだかとても寒いよ、栞。」 「わたしが見つけてあげる。絶対、見つけるよ茉都香!」 「ありがと、栞。大好きだよ。」 “一緒にいてずっとあげられなくてゴメンね茉都香。わたしも茉都香が大好きだから!” 茉都香が笑った気がした。そう思った時、彼女の姿は消えていた。 そうして、わたしは行方不明の茉都香と約束をした。 その夜の夢枕で聴いた茉都香の言葉に突き動かされて、わたしは高校2年の夏休みを彼女の足跡を辿って、走り回ることになった。
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