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そしてしばらくしてある日、突然茉都香ちゃんはいなくなった。
そりゃあ心配ではあったけれども、ぼくは彼氏って人と駆け落ちしたんだなと、直感した。
その話を聞いた数日後、ぼくたちは釣りをしに、自転車で遠出した。
穴場に着いて、早速ルアー釣りを開始した。
何度かバラしたり、小物をリリースしたところで、竿にグイグイくる手応えを感じた。遂に大物を釣り上げたと思って喜んでいたら、スーパーのビニール袋を釣り上げてしまい、横にいた友だちに大爆笑された。
ぶつぶつ文句を言いながら、ルアーの針を外したところで、なんとなく固く結ばれている袋の中身が気になった。
友だちは友だちで、もしかしたら宝ものかもな、なんて茶化してきて、イヤになっちまう。
糸切り用の小型ナイフで、結び目の下から切り開いてみた。
残念ながらお宝どころか、ビニール袋の中には、死んだ赤ん坊の死体が詰まっていた。
近くの大人の人に報せて、警察を呼んでもらい、現場は大騒ぎになり、もう釣りどころじゃなくなっちまった。
その時は、誰にも言えなかったけど、あのビニール袋を開けた瞬間、この子はもしかしたら茉都香ちゃんの赤ちゃんかも知れないなって感じていた。
みんなは茉都香ちゃんは家出したに違いないと思っているけれど、お腹の赤ちゃんのことは茉都香ちゃんとボクだけが知っている秘密だった。
秘密を話してくれた時の茉都香ちゃんは、それはとても幸せそうに笑ってた。あの茉都香ちゃんが独りで家出するなんてとても思えなかった。
いやちょっと待った。違った。言い直そう。茉都香ちゃんとぼくと、あの死んだ赤ちゃんの父親である彼氏だけが秘密を知っていたんだ。
あの時点ではまだ知らなかったハズだけど・・・。
多分もう茉都香ちゃんもこの世にはいないのかも知れない。
そして、今度の犯人もきっと。
証拠は何も無いけど、僕には確信があった。
今はまだ大人には相談出来ない。
何よりも、ぼくは絶対に犯人の奴が許せない。
茉都香ちゃんは、ぼくの初恋の人で大好きだったんだ。
流石に小5にもなれば、同級生に好きな女の子もいるけれど、茉都香ちゃんだけは今も別格だった。
茉都香ちゃんの仇だ。絶対に、きっとぼくがやっつけてやるからな・・・。
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