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「じゃあ、こっち食べる?」
シーザーサラダを指さすと、ぎょっとしたように朔が顔をこわばらせる。
「いらない」
素早すぎる返答に、きょとんとしてしまう。
「ここのドレッシングもおいしいぞ?」
気まずそうにそっぽを向いた頬にうっすらと血がのぼる。
ステーキサンドにも大ぶりなレタスが挟まっていて、ああって気がついた。
「もしかして、葉っぱ、嫌い?」
戻って来た瞳が見開かれてる。
「違う……」
そうなのか?って首を傾げると、みるみるうちに表情が曇る。
「じゃ、食べる?」
取り皿にサラダを盛ろうとすると、がしっと手首をつかまれた。
「いや、いらない」
「やっぱり、嫌いなんだろ」
「なんで、そう無駄に勘がいいかな」
「無駄ではないよ。仕事には便利。で、食べれない?」
微かに頷く頭に、ふうんと息を吐く。ステーキサンドを手に取るとレタスをずるりと引き出した。ステーキの上にフライドガーリックと炒めた玉ねぎが乗っている。
「炒めた玉ねぎとか、揚げたガーリックは?」
「それは……大丈夫」
「野菜の苦いのがダメなのか」
「……うん」
小さい返事にステーキサンドを差し出すと、困惑しきった顔がサンドイッチを眺める。
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