0人が本棚に入れています
本棚に追加
「気にするなよ」
「え?」
「僕が助けたくてお前を助けたんだ。だから、お前は何一つ悪くないよ」
友人は言いたいことは言ったと、そう語るかのように目を閉じた。
「お、おい!」
少年の呼び掛けは、病室の中で響くだけで、友人は目を覚まさない。
ピッピッピッピーーーーーーー
友人の生存を知らせる電子音が、死を告げるものへと変わった。
秋。
それは、野生の動物が死んだかのように眠る。
その、準備をするための季節。
その季節に俺の、たった一人の友人は眠りについた。
少しだけ早い、永遠の眠りに。
最初のコメントを投稿しよう!