虫を飼う

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 持て余す暇を虫の観察に費やす四郎を見て、気味悪がる者はいても、関わろうとする者はひとりとしていない。  自分はなんの為に生まれてきたのかーー。  長く苦しめられて来た疑問も、いつの間にか消えてなくなった。  十一匹目の蝶を外へ放ったあと、四郎は使用人を連れて、久しぶりに屋敷の外へ出てみることにした。  何でもいい。  憂き世を忘れさせてくれる、刺激が欲しかった。
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