第1章 「invader-侵略者-」

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「苦い…………」 と珈琲を一口飲んだinvaderが呟く 「じゃあ飲まなければいいじゃない」 と喧嘩越しの彼女 それに対して、キッ!っとinvaderが、俺の隣の彼女を睨む。 「はいはい、喧嘩しない。そこの棚の上に箱があるだろ?そのなかに角砂糖が入ってるから使っていいぞ。」 invaderが顔がパァーっと明るくなり、角砂糖を取るなり、ポチャンポチャンと珈琲に角砂糖を入れる。 ブラックが旨いのになあ…………と思ったがわざわざ言う必要もあるまい。 珈琲を飲み終えた俺は、先ほどの鉛筆削りを始めた。 「ねぇ、その変わった形の剃刀?何でそんなので削ってるの?鉛筆削りの方が早くない?」 とinvaderが近づき俺の手元に顔を覗かせ不思議そうな顔をして聞いてきた。 それに対し、自分の手を俺とinvaderの間に突き刺して遮るようにして黒髪の彼女が言う。 「貴方には、理解できないでしょうね、自分でやる事の意味が」 「聞いただけじゃん!この性悪女!」 「なんですって!」 「はいはーい、静かにしてねー…………ったく今日のお前はどうしたんだ?変だぞ?」 と注意して、顔を向けると黒髪の彼女がぷいっと顔を反らす。 こいつ………… invaderの方に顔を向けるとざまあみろといった顔をしている。 はぁ…………っとため息をついてinvaderに話しかける 「こいつはミッキーナイフって言うナイフで地域によってはボンナイフって言うんだ。廃盤になったと思ってる人も多いけど、息が長いナイフで今でもちゃんと生産されてるんだぞ。 小さいから持ち運びも便利だし、邪魔にならない。 使ってる理由は自分で芯の細さや荒さを変えたいからだ。」 「芯の細さは分かるけど荒さって?」 と返答が帰ってくる。 「ん~なんて言うんだろうな?個人的な見解なんだけど、絵を描くときって完成した結果より、どのような想いで描いたかの過程が大事だと思うんだ。例え同じ模写をしたとしても力強さを伝えたければ、芯を多少荒く削って方が、荒々しさを伝えたいんだって気持ちになるだろ?」 「そーゆうもんなの?」 「そーゆうもんだ。」 invaderはふ~ん…………と頷いた。 「と、言うわけでだ、お前さんにこれをやろう!これを使って作品を作って来れば、こいつに文句を言わせない。」 invaderが嬉しそうな顔をして言う 「本当に!?」 そっぽを向いていた黒髪の彼女が、何か言い出す前に、言葉を発する。
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