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陽花を取り上げられたユキは恨めしそうな顔で私を見ている。
「そんな顔しないでよ。まるで私が悪いことしてるみたいじゃない」
「してる」
また恨めしそうな顔をしてボソリと呟く。
「もう、いい加減にしてよ。
今からこんなんじゃ陽花が結婚するってなったらどうなるのよ」
思わず漏れた言葉にユキはすごい勢いで立ち上がると
「結婚なんかさせるわけないだろ!!」
自分がおかしいことを言っているとは微塵も思っていないという面持ちでキッパリと言い切ってきた。
ーーー重傷だ……
「ごめん。そうだね、そうだよね」
完全に頭に血が上ってしまっているユキに何を言っても無駄だと思い、とりあえず話を合わせることにした。
「じゃあ、行ってくるね」
やや後退り気味に陽花と荷物を持つと私は慌ただしくマンションを出た。
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