#そして……

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「あ、足元、気をつけてよ。暗いから」 久しぶりに店に来てテンション高めな咲穂に神崎が心配そうにカウンターから覗き込んできた。 「はい、大丈夫です」 言った傍から、小さな段差に躓きよろける。 「言った傍から……」 反射的に出た手で咲穂を支え、大事に至らずに済んだ。 「ごめんなさい」 ついつい浮き足立ちすぎていたことを反省したらしく、珍しくしおらしく謝る。 「いつもの席に、て言いたいところだけど、そのお腹じゃ無理そうだね」 「だな。今日は奥のソファー席、使わせてもらうな」 咲穂の事だから、いつものカウンター席で神崎と話したかったんだろうけど、さすがにそれは許可できない。 というかお腹がつかえて座ることもできないだろう。 それが分かってか咲穂も何の文句も言わず、でもやや足取り重く、奥のソファー席へと移動しだした。 .
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