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「何飲む?」
神崎がカウンターから出て注文を取りに来てくれた。
「えっと……、ここに来ちゃうと神崎さんの作ったカクテルが飲みたくなるけど、我慢してウーロン茶。できれば温かいのが良いな」
飲めないと分かっていても口に出してしまうのは、本当に飲みたいからなんだろう。
残念そうにホットウーロン茶を注文する咲穂に
「じゃあ、俺も同じので」
笑いをこらえながら同じものを注文した。
「え?ユキも飲まないの?車なら置いていけばいいし、飲めば良いのに」
驚く咲穂に
「ユキは最初から飲む気がないから車で来たんだよ」
相変わらず俺の考えなんてお見通しといった感じで神崎が答えた。
「そうなの?無理して私に付き合うことないのに」
「無理なんてしてないって、飲みたきゃ帰ったら飲むし。それより咲穂、神崎を見て何か気づかないか?」
「おい、ユキ!」
ニヤニヤする俺に神崎が慌てた感じで止めにかかる。
だけど、もう咲穂の耳に届いていて
「え、何?」
動揺しまくる神崎を咲穂は目を凝らしマジマジと見つめだし
「あ!!」
すぐに神崎のソレに気づいた咲穂が驚きを隠しきれないといった様子で思わず声をあげた。
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