2人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて支配領域がモンスターの姿を捉えた。人形の小さなモンスターを先頭に、凡そ二十のそれぞれ姿形の違うモンスターが真っ直ぐ北へと向かっている。その進路上には俺の隠れる木があり、そして、市街地がある。
これはチャンスだ。このまま奴らを向かわせれば、俺が侵入するための隠れ蓑になる。気掛かりなのは、この作戦を選ぶことで誰かが死んでしまわないかだ。今更何を、とも思う。だが、俺のせいで誰かが死ぬのはこれ以上見たくない。ここで俺が幾体かモンスターを駆除すれば、無用な被害は出なくて済むかもしれない。
どうする。
悩むうちに、愈々モンスターが近付いてきた。殺気を探るも、やはりモンスターの狙いは市街地なようで、モンスターは俺に気付いた様子もない。不意打ちを仕掛ければ相当数減らせるだろう。
どうする。
最初の一体が真下を通る。続々とモンスターが過ぎ去っていく。地響きが遠くなって、俺は木から降りた。どうか、誰も死なないでくれ。勝手な祈りを心中で呟いて、モンスター達の後を追った。
最初のコメントを投稿しよう!