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「調べてみたらお前だと分かった…神父さまっ…」
女はイリスの目の前で足を止めて、細い腕を伸ばした。
「やめろっ…俺はアイツと関係ない…触るなぁ…」
顔を長い爪の付いた細い指で触られて、あまりの気持ち悪さに身体を動かせて縛られた手足を引っ張らせた。
「あの方は…どうやってお前を抱くの…?…優しく?…こんな風に強引に?」
女は、イリスの着ている神父服に視線を落とした。
真っ黒な生地の上を指で撫で、キツイ目つきで睨みつけると一気に爪で切り裂いてしまった。
「…っ…う…」
左右に別れてしまった服に隠されていた身体が空気に曝されると、イリスは羞恥心に襲われて赤面した。
白い首の付け根にはリュードの名が刻まれている。
「コレはあの方が…着けた跡?名前まであるなんて…許せないっ…」
しかし、ソレが原因でこの悪魔の怒りをを煽ってしまった。女は羞恥心に赤面するイリスを睨みつけた。
「もぅ…離せっ……」
イリスは、恐怖に身体を震わせた。息が苦しくなり、抵抗すら無理があった。
「アラ…よく見たらいい男ねぇ…」
イリスのまわりが灯りだすと、そこは何処かの部屋の風景が見えた。イリスの近くには黒いドレスに身を纏い、肩や腕を露出させた服を着た茶色の髪色の女がいた。
「誰だ…ひぃ…ああっ…」女の姿を見たとたんに身体の一部が跳ねた。
身体が熱くなり、息が出来ない。まるでリュードに抱かれる時のような感覚を思い出す。体の中心が熱を保ち、息が荒くなる。
「やっと効いてきたみたいね…」
イリスの様子を見ていた女は、喜びの表情で見下ろした。
「何を…した?」
体の異変に気付いたイリスは、女を睨み付けて問う。息を荒くして紅潮した顔を振って僅かな声を漏らした。この感覚には覚えがある、以前に魔物に襲われた時に感じた自分の意志と反対に体が熱くなってしまう。
「淫花の香を炊いたのよ、魔族にはなんともないけど…人間には堪え難い快楽を与えるのよ」
イリスの様子をみている女は、そばのテーブルに置いてある煙のあがる壺のようなを手にして見せた。
そして、ソレを再びテーブルに戻してイリスにさらに近づく。
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