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(なんか…気持ちいいな…)静な水音に薫りの良い薬草の匂いにイリスは僅かな意識の中で心地良さを感じる。普段の生活の中ではシャワーを浴びるだけで水に浸かる事がなかった。
(あれっ…確か俺ってリュードの女に…)
しかし、思考回路の中で記憶が甦ってくると意識がはっきりと冴えてくる。
なぜ、水音の近くに居るのか状況が把握できないイリスは、重い目蓋を持ち上げてみる。
「うぅ…此処はどこだ?」
記憶に残っている場所と違い、白い壁の部屋の中に創られた浴場の中にいた。
イリスは、湯から発する蒸気ではっきりとしない視界に瞬きを繰り返す。
「私の城だ…」
聞き慣れた声が聞こえる。耳元で囁く低い男の声。
「城だと…うあっ…」
声のする方に視線を向けると、金髪をポニーテールに束ねて上半身裸のリュードがいた。
抱えられたままで湯の中にいるらしい。
自分の身体を見てみると、腰に布が巻かれているだけで裸同然の姿に驚きの声を上げた。
「我が城へようこそ…っ」
イリスの様子を見ていたリュードは抱えている身体を起こして、喜びの笑みを浮かべた顔を近付け、イリスの顎に開いている手を寄せる。
「…あっ…離せ…うぐっ」
その途端、顎下から指先で顔を上げさせられて、柔らかな唇を重ねられた。
イリスは抵抗を試みるが、体に力が入らない。いつもより身体が感じやすく全身が性感帯になった様な熱に保っている。
リュードの女に嗅がされた香が原因だと分かっている。
「苦しいだろう…」
短い口付けで息を荒くして赤面したイリスの様子を見たリュードは、顎を押さえていた手を胸へと降ろしていく。すでに下半身は口付けで更に熱を上げ始めてイリスの戸惑う表情を楽しむ。
「お前の…せいだろっ…」
口付けを受けて、リュードの手が身体を撫でる度に下半身は頭を上げていく。イリスは強気でいるが身体は快楽を求めている。
「女は善かったか?」
唇を離したリュードは、顔を下げて自分の名を刻んだ首筋を舐める。赤面して息を荒げるイリスの下半身に到達した片手で布を捲り、堅くなっている陰茎を包む。
「気持ち悪っ…あ…もぅっ…」
愛撫に耐えるイリスは、動かされるリュードの片手に扱かれる度に何とも言えない快楽に喘ぎを洩らす。響く水音と囁かれる低い声の中で脳裏が侵されていく。力の入らない手を動かして、リュードの手を止めようとする。
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