語らずの泉

2/15
前へ
/15ページ
次へ
街から遠く離れた山奥に、打ち捨てられた村がある。 そのさらに向こうには深い森。 奥の開けたところには、美しい泉があります。 空や緑を映し込んで、見失ってしまうほど澄んでいるのです。 そこに水があることを知らせてくれるのは、風や鳥、舞い落ちる木の葉に、獣と…魚たち。 その息吹を感じられた時にだけ、泉は姿を現すのです。 これほど美しく豊かな場所と共にあった村は、かつては同じく豊かで活気に溢れていました。 けれど、今ではなんの営みの気配もありません。 どうして、こんなことになってしまったのか。 それにはワケがあるのです。 とても愚かなワケが…。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加